TIMES RECORD

音楽好きたちが好きな音楽を好きなようにレコメン。ライトにいきましょう。

平成最後の砦 King Gnu

 

 

King Gnu。キングヌー。

 

 

 

音楽好きのあなたなら、もう既にこの名前を耳にした事があるだろう。

たまに「King gun」と間違われがちだが、彼らはキングヌーなのである。

 

「最近流行り出したバンドは聴かん。BUMP OF CHICKENこそが至高そして伝説」

そう思っていた私でさえも、彼らに新しい音楽史の幕開けを感じずにはいられなかった。

 

 

無茶苦茶な音楽がそこにはあった。

何でもアリかよ、とも思った。でも、現代の音楽好き達はそれをすっかり受け入れていた。

もしかしたら、誰もがこのノリとサウンドをずっと待ち望んでいたのかもしれない。

King Gnuが、没個性な現在のバンドシーンに突然白羽の矢を立てたのだ。

 

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4月15日、私はなんばハッチにいた。彼らのニューアルバム(2019.1.16リリース)「Sympa」ツアーの追加公演を目に納めるためにだ。

 

正直に言うと、ただの興味本位でライブに来てしまった。

2017年に結成。怒涛の早さでメジャーデビューしたかと思えばMステにも出るわ、2枚目のアルバムにしてツアーが追加公演決定(しかもソールドアウト)、話題沸騰。サブスクも解禁していると言うのに、アルバムはフラゲ日直ぐにCDショップから姿を消していた。

気になっていた。

丁度いいタイミングで機会は訪れる。

「友人の代打」と言う名目で運良く私は今最も旬なアーティストのライブへの招待状を手にしたのであった。

 

 

彼らのアルバム「Sympa」は、全曲と言っていい程、腹立つほどクオリティが高い。

多分、音楽に精通している人であればある程、このアルバムは音の情報量が多すぎて胸焼けするんだろうな、とは思う。

しかし、荒々しく男らしい声と少年のような優しい歌声のツインボーカル、ミクスチャーロックで彩られた一曲一曲の表情が色濃く、個性的でうるさくて、誰もが大声で叫んで歌える、そんな一枚だと思う。

 

 

そもそもメンバー全員のスキルとポテンシャルが高すぎる。

 

作詞作曲を担当するギターボーカルの常田と、ボーカルキーボードの井口は幼馴染で東京藝術大学に行っていた。常田はバンドの他にクリエイター集団をしており、MV製作やバンドロゴなどのアート面も手掛けている。井口は大学時代に声楽を専攻しており、役者経験もあるそうだ。通りでシャレならんくらい歌が上手い。納得だ。

ドラムの勢喜は両親がミュージシャンで、尚且つ自身のルーツがブラックミュージックであると言う。ライブでも彼の手数やアレンジは最高で、バンドをしっかりと支えていたのは間違いなく彼であったと印象深い。

ベースは大学時代にアジカンのコピバンをしてたらしい。僕と同じだね。

 

アニメ「BANANA FISH」のエンディング”prayer X”を務め話題を呼び(私もこれで知った)、東京藝術大学出身、「トーキョー・ニュー・ミクスチャー・スタイル」を鳴らす、とかいうsuchmos以来のキラキラした肩書き。実際には芸大はすぐ辞めてしまったとかなんかのコラムで見た気がするが、それでさえも「なんだかオシャレじゃん」と思わされてしまう。
あとBANANA FISHは神アニメだから皆観ような!

 

 

そんなバンドがライブをする。

会場は既に若者で満員。急いでハイネケンを空っぽの胃へ流し込む。

 

ライブが始まって驚いたのは、黒髪ボブヘアがいない事。(個人の感想です)

若い男女が酒(ドリンク)を片手に好き勝手大声でシンガロングしている事。

ノリ方が分かんない、という人がいない事。

 

私は客層とか他人のライブのノリ方とかをとやかく言わない性分で(自分が自由に音楽を聴きたいだけなのだが)、そういうのはナンセンスだとは分かってはいたけど、このライブ会場では思わずそういう所に目を付けずには居られなかった。

ライブ中、どっからその音鳴っとんねん、え、おめえさっきまでギター弾いてたのに何で鍵盤弾いてんの、しかも上手いな、え、ベースお前もか、ドラムお前だけしか最初から最後まで同じ楽器弾いてないぞ、みたいな、マジでいい意味で何でもアリな無茶苦茶なバンドの音楽をまるっと受け止めて、

まるで、これが普通ですよ、今の時代はこの音楽ですよ、みたいな当然のような顔して、ティーン達は大声で歌っているのである。

 

なんばハッチが満員になる程の人数がこんなにも自由に歌って踊れる音楽ってあるんだな、と感動した。

 

これまでのバンドシーンは個人的な感想ではあるが、少し没個性を感じていた。

だからと言って勿論否定をする訳でもないし、お前ごときがバンドシーンの何を知っているんだしねカスころすぞなどと思うのも仕方ない。それに何より、私は忘れらんねえよのライブで鼻水を垂らし泣きながら拳を挙げる程にバントが大好きだ。

 

しかし、それを打破するように、平成の終わりに音楽界へ閃光を放ったKing Gnu

これから彼らが奏でる「トーキョー・ニュー・ミクスチャー・スタイル」が気になって仕方ない。

 

 

 

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